おもしろかった。超おもしろかった。
2008年公開のアイアンマンから10年。MCUの集大成となった本作。
各作品でキーアイテムになっていたインフィニティ・ストーンを巡ってラスボス「サノス」との戦いが描かれます。
バラバラだったアベンジャーズメンバー。
ドクターストレンジにスパイダーマン。
ブラックパンサー率いるワカンダ勢。
スターロード率いる(ほんとぉ?)ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー。
ポスターが過剰積載になるまさに総決算。
こんなんジャスティスリンチ不可避やんと思いきや、サノス陣営もイカした四天王に戦闘力0.5キャップくらいはありそうな生体兵器を大量配備。
これなら全員に見せ場を割り振り可能。相手にとって(興行的にも)不足なし往生せいや、ケツアゴタイタン。
と、思いきや。
サノス最高。
サノス超かっこいい。
本作、完全にサノスが主役でした。
ヒゲ生やしたキャップにもナノテクマシマシなアイアンマンにも勝る圧倒的な存在感。キャー!指パッチンしてー!
もうインフィニティ・ストーンを使った戦闘がかっこいいのなんの。
パワー、スペース、リアリティ、ソウル、タイム、マインド。
選べる宇宙の法則全6種類。そりゃやりたい放題になります。
インフィニティ・ガントレットのストーンの発光とギミックの連動に敵ながらワクワクが止まりません。
パワーストーンで衛星の表面を削ぎスペースストーンで引き寄せ叩きつける。
やってること無茶苦茶なのに芸細です。
そんな公式チーター相手に繰り広げられるタイタン星の決戦は圧巻。
反則が反則を呼ぶ大盤振る舞い互いにレッドカードを切り尽くした紙一重の決着に終始引き込まれっぱなしでした。
アクションだけでも満点なサノスですが、そのキャラクターもまた魅力十分。
作中で掘り下げられるサノスの人物像。そこでサノスが確固たる信念と情愛の持ち主であることが描かれます。
サノスの善の側面をソウルストーンで立証する展開はただただすごい。
全宇宙の生命を半数に間引くという野望のベクトルとスケールは異常です。が、決して命を軽視しているわけではなく。
あのパンパンな尺の中で部下の死を悼む様子が描かれていますし、戦闘シーンの随所にもヴィランらしからぬ敵対者への感傷と畏敬が垣間見えます。
そもそも、魂を司るソウルストーンを手にした時点で邪魔者は問答無用で抜魂抜魂できた(はず)のにガントレットを奪われかけた瀬戸際でもその力を使うことはありませんでした。
(ストレンジの分身体を消すときには使っていました。さすスト)
明らかに手(というか指)を抜いています。
無闇やたらな殺戮ではなくあくまでインフィニティ・ストーンによる無作為の「間引き」にこだわるその姿勢にサノスの常軌を逸した信念が強く表現されています。
(本気出されたら文字通り「話にならない」というのもありますが)
そしてこの重厚感あるキャラクターをがっちり支える銀河万丈さんの吹き替え。
これは勝てん、しゃーない。
勝てなかったのは仕方ないとして気になるのは後編の展開。
ただサノスを成敗されてもモヤモヤします。
だってサノスやることやってしまいましたし、もうサノス好きですし。
既に目的を果たしたサノスは下手したら無抵抗で倒される可能性も。
ガモーラへの贖罪を考えればむしろそれを望んでいるまであります。
そんなサノスをキャップが「皆の仇だ!ジャスティス!」って感じでやっつけたとしても、それではただのリベンジでアベンジではないと思うのです。
あの「間引き」に何らかの方法で何らかの落着をつけた上で、「サノス、お前は間違っている!」そんな流れが理想です。
が、その道のりは険しく崖はゴリゴリに切り立っています。
果たしてどんなスーパーヒーロー着地になるのかまったく想像がつきません。
望みがあるとすればストレンジがタイムストーンで垣間見た未来。
多分、ストレンジは知っていたはずです。
詰めでスターロードがしくじることも自身がトニーのためにタイムストーンを差し出すことも。
すべてが手詰まりならトニーを見捨ててタイムストーンを壊すべきだったはずなのに、そうすると断言していたはずなのに、現実主義の合理主義であるストレンジがあえて取った選択。
サノスの悲願が成就したその先に何らかの希望を見出した上で、ストレンジ自身がその先を見届けることは叶わないと知った上で「他に道はない」とトニーに託した未来。
そこに最高のアベンジが待っていることを期待して、後編を待ちたいと思います。