マジック・ザ・ギャザリングの各エキスパンションには、ある共通のテーマにそって各色に作られた「サイクル」と呼ばれるカード群があります。
このサイクルの元祖とも言えるのが、MTG最初期のセット「リミテッド・エディション」で実装された5枚のインスタント呪文「ブーンズ」サイクルです。
白:治癒の軟膏/Healing Salve
以下から1つを選ぶ。
・プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは、3点のライフを得る。
・クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。このターン、それに与えられる次のダメージを3点軽減する。
青:Ancestral Recall
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを3枚引く。
黒:暗黒の儀式/Dark Ritual
(黒)(黒)(黒)を加える。
赤:稲妻/Lightning Bolt
クリーチャーやプレインズウォーカーやプレイヤーのうち1つを対象とする。稲妻はそれに3点のダメージを与える。
緑:巨大化/Giant Growth
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+3/+3の修整を受ける。
パワーバランス的には、Ancestral Recall>>(次元の壁)>>暗黒の儀式>>>稲妻>>巨大化>治癒の軟膏といった感じで、青が頭一つというか次元一つ違う強さ。現在のスタンダード基準では巨大化がちょうどいいカードパワーになります。
ブーンズサイクルの各カードは、次のようなルールにそって作成されています。
① 1マナであること
② インスタントであること
③「3」にまつわる効果であること
この「3」という数字が曲者で、安易に3枚、3点、3回と定義してしまうと、ゲームバランスがあっさり崩壊してしまいます。
ブーンズのルールを守りつつ、緑の巨大化のような現スタンダード環境のカードパワーに準拠した、令和版ブーンズサイクルを考えてみました。
白
点数で見たマナ・コストが3以下のアーティファクトやエンチャントのうち1つを対象とする。それを破壊する。
マナ制限つけるので《解呪》を1マナで打たせていただきたい。
プレインズウォーカー1体を対象とする。それに置かれた忠誠度カウンターを3個にする。
相手のPWに使って奥義阻止したり、自分のPWに使って延命したり。
プレイヤーに心酔状態のプレインズウォーカーを説得して「すん…」とさせるイメージ。
攻撃かブロックしているクリーチャー1体を対象とする。それのタフネスが3以下であるなら追放する。
白の定番インスタントにタフネス制限と追放を添えて。
青
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは占術3を行う。
ハンドアドバンテージ損するなら、3枚めくってもよいのでは。
あなたはライブラリーの一番上から3枚のカードを見て、望む順番でライブラリーの上に置く。
占術3がやり過ぎならボトム送りを不可にして、渦巻いてない知識に。
点数で見たマナコストが3の呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
青といえば打ち消し。白でもこすってる手法ですが、「3」を制限事項として使うのはなんかちょっとナンセンスです。
あなたのコントロールするクリーチャー1体と、対戦相手がコントロールするクリーチャー1体を対象とする。それらをタップし、麻痺カウンターを3個置く。
自前のクリーチャーを用意する、という制限をつけるので麻痺カウンター3個置いてもいいですか。
フレーバー的には、プロフェッサーXが念力でマグニートをうにうにしてるイメージ。
黒
腐乱と「このクリーチャーは各ターンに可能なら攻撃する。」を持つ黒の1/1のゾンビ(Zombie)・クリーチャー・トークン3体を生成する。
アタックが我慢できない腐乱ゾンビなら3体生成してもいいのでは。
だめそう。
あなたのマナ・プールに(◇)(◇)(◇)を加える。
暗黒じゃない儀式なら許してもらえませんか。
クリーチャー1体を対象とする。ターン終了時まで、それは感染3を得る。
変則バットリとして。
以下から1つを選ぶ。
・プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーに置かれたカウンターを最大3個まで取り除く。
・パーマネント1つを対象とする。それに置かれたカウンターを最大3個まで取り除く。
最近の黒でよく見るカウンターを外す系。除念っぽい。
赤
プレイヤーやプレインズウォーカーやバトル1つを対象とする。それに3点のダメージを与える。
クリーチャーに飛ばない稲妻なら許される。
速攻とトランプルと「終了ステップの開始時に、これを生け贄に捧げる。」を持つ赤の3/1のエレメンタル・クリーチャー・トークンを1体生成する。
プチ・ボール・ライトニング。相手のエンド前に出すのが小賢しくてよい。
クリーチャー最大3体を対象とする。ターン終了時まで、それは速攻を得る。
ヤケクソ速攻付与。
まとめ
30年以上の歴史の中で様々なカードが生まれ、ギミックが考案されてきた今、改めて現代マジックに馴染むブーンズサイクルを考えてみよう、という企画でした。
これはないわーみたいな案ばかりだったかもしれませんが、いかに制約をクリアしつつぶっ壊れないカードにするか考えるのはなかなか楽しかったです。
マジック好きな人と議論するテーマとしてもおもしろいと思います。皆さんも是非、あなただけの令和ブーンズサイクルを考えてみてください。結構おもしろいですよ!